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【福岡県CIRからの寄稿】九州国立博物館と私

福岡県の国際交流員である黄紫娟さん(2020年度派遣)から寄稿いただきました。

九州国立博物館と私

皆さん、こんにちは。黄紫娟と申します。私は現在、国際交流員として日本九州国立博物館に勤めております。派遣先の自治体は福岡県で、所属は福岡県立アジア文化交流センターです。九州国立博物館は、独立行政法人国立文化財機構と福岡県立アジア文化交流センターが連携、協力して運営しています。

実は、九州国立博物館には二回来たことがあります。一回目は2018年の夏、二回目は2019年の夏です。帰る際に館内の優しいお爺ちゃんに「また遊びに来てくださいね」と言われ、笑顔で「はい、ありがとうございました」と答えましたが、心の中ではもうこの博物館に来ることはないだろうと思っていましたが、その時は、ここが勤務先になるとは思いもしませんでした。「人生には三つの坂がある。上り坂と下り坂、そしてまさか」という名言があります。予想外のことが起きるからこそ人生というものの面白さだと、私はいつも思っています。これは運命なのだろうか、こういう気持ちを持って九州国立博物館で働き始めました。

日本には5000を超える博物館があるそうです。それらの博物館では、人類の歴史と文化、科学技術の変遷と未来、あるいは宇宙や地球の誕生にまつわる事実など、古代から現代まで収集された様々な「人の知恵」を皆に提供しています。九州国立博物館はその中の一員として、「人の知恵」の文化財を展示するだけではなく、文化財の修復や保存作業にも力を入れています。文化財を活用することを通して、だれでも楽しめる空間を作るために取り組んできました。

九州国立博物館は東京、京都、奈良に次ぐ日本国内の四番目の国立博物館として、2005年10月16日に九州福岡県の太宰府の地に開館し、開館一周年で入館者数が220万人を突破しました。今でも年間約150万人の来館者がいます。開館して15年と若い博物館ですが、太宰府は古く「遠の朝廷」と呼ばれた日本古代史上の一大舞台です。こうした歴史的な環境の中で、歴史と自然の融合を第一に考え、海のウェーブを意識し、空や山といった周囲の自然に溶け込むように建てられた九州国立博物館の建物は自然との調和が図られた芸術品だと考えられています。

博物館といえば、ほとんどの人は大声を出ず、大騒ぎしてはならず、勉強のために存在し、息苦しく感じる場所だと思い浮かべるかもしれません。しかし、九州国立博物館は日本文化の形成をアジア史的観点から捉えるというコンセプトをもとに運営しており、「学校より面白く、教科書よりわかりやすい」をキャッチフレーズに、皆さんにアジアがもっと身近にあると感じていただけるように、より親しまれる博物館を目指しています。そして、時代と国を超え、たくさんの貴重品を集めていると同時に、展示に関連したテーマを映像や音響で体感できる空間、実際に触れることができる空間及び五感で楽しめる空間など“歴史は苦手”という人にもわかりやすい展示を行っています。皆さんが思っていた伝統的な博物館と全然違います。

それに、九州国立博物館はアジアを中心に海外の博物館との積極的な交流推進に取り組んでいます。研究者などを相互に派遣し、共同研究を実施するなど交流を深めています。博物館の四階にある文化交流展示室では「海の道、アジアの道」をテーマに、アジアとの交流を知る上での文化財を時代によって五つのテーマに分けて展示しています。日本の文化財だけではなく、アジアおよびヨーロッパ各国の文化財も展示されています。その他、幅広い来館者の知識欲を満たせるように、期間限定の特別展にも工夫しています。アジア各国との協力展覧会も行っています。九州国立博物館は外観だけではなく、中身も海みたいな巨大な包容力があり、日本の歴史とアジア文化の美に触れる芸術の殿堂と言われています。

また、九州国立博物館では、展示だけではなく、博物館の広いスペースを活用した様々なイベントを実施しています。茶室での「茶道体験」や、コンサートやワークショップなどの無料で参加できるイベントも多数あり、特別展の期間だけではなく、いつでも、何度でも楽しめる場所です。

「人は、何かに興味を持って、それに関するものを集め、身の周りに置いておこうとするようです。それが趣味であっても研究であっても、そうすることによって新しい事を知り、発見をして、自分の世界が広がっていくのです。」大学院生の時に指導教員によく言われました。もともと博物館に興味を持っていなかった私ですが、今回をきっかけに九州国立博物館に関することをいろいろ勉強できました。皆と一緒に実施した留学生イベントや、九州国立博物館のYouTubeチャンネルで配信している「おうちdeきゅーはく」と「情熱九博」の動画の中国語の字幕を作ることを通して、九州国立博物館は様々な文化財を集めていて、非常に面白い場所だとよく分かりました。九州国立博物館のおかげで、自分の世界がどんどん広がっていくと感じています。

九州国立博物館に足を一歩踏み入れると、皆さんも私のように自分自身の好奇心が目覚めることに気が付き、新しい世界を見つけることができるかもしれません。日本人でも、外国人でも、もし九州に観光に来たら絶対に見逃せない風景として皆さんにお勧めです。太宰府には太宰府天満宮だけではなく、素晴らしい九州国立博物館もあります。ぜひ御足をお運びください。皆さんとお会いできることを心からお待ちしております。

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